堀 剛
流れ星、輝いて焼失するもの。
大気圏への突入速度は自らを包む大気との摩擦を生起する。
高速に大気を引き裂く頑なな意志。
自らのゆえに発火点に到達し、焼失する。
地上においても形を留めるものは少なく、ましてや焼失に耐えて激突するものは極めて稀である。
尚、地球に届こうとする一つの意志のみにおいて大気に突入し、硬質な自己は発火する。
意志ゆえに放たれたもの。
地上の誰かに見られるためでもなく、見られることの偶然にすら身を寄せず、
意志自らに意味を付与された炎の塊。
何処から突然の鋭角的な突入をなして来たのかすら、あずかり知る者もなく、
ほとんどの場合、観察されるという他者への関係すらも拒絶するもの。
閃光を放って死すもの。
20200519