堀 剛
月。太陽光を反射し、輝きを日々つくろう天体。
自らは光を持たない冷徹な岩石の塊でありながら、地上へは反射光を放つもの。
心。自らの思いを自らに写し、自らの日常を日々つくろう実存。
自らは不変な魂の一片でありながら、外部へは意志を放つもの。
時に満月、意志は行為を放つ。行為は肉体を伴う。
時に三日月、祈りは神秘であり、微笑みは哀しみをも伴う。
自らの思いを抱え込む。
自らの思いを引きずりながら、どこまでも自らに対して関係する。
自らは一つの肉体の内に置かれているようであり、
体積を確認できぬ所在でありながら、外部へは肉体を所有する。
時に打ちのめされ、自らのありように耐え難く、肉体をすら破壊するもの。
心、月の鏡に反射し、自らを自らに焼き尽くすもの。
20200519