堀 剛
1
突然の閃光が鋭角的に僕の意志へ入り込む
他宙から流れ星が観測の隙間に飛び込み
一瞬燃える
詩の一行さえ赦さぬ時の拒絶
呪文を唱える
あるいは願いごとを唱えるなどという行為を憶い出すにも
極度な時の瞬間に立つ
見る
見られるというかかわりの一瞬が
流星の質量の生み出す時の中にしかなく
唐突な
あまりにも唐突な光り輝きはやがて流れ、消える
その一瞬に、僕は目撃者であるという不思議に包まれる
2
立ち向かう
流れる星のいとなみ
僕の心で周期を狂わせてみようと思い立つ
一点の輝くミクロ・コスモスへと通過してみたいと願う
それだから
尚 今夜も病んでいる
3
互いに交差するために
互いに意味を示しあうために
互いに存在の哀しみに震えるために
連なって運行する二つの恒星
やがて、ホロスコープのハウスの扉が開かれると
一方はふいに逆行し、他方は密かに立ち止まる
彼方に秩序が存在するのだとすれば
既に僕らの別れが始まっている
4
時間旅行
一瞬の微笑みを見たいばかりに
あり余る感情を引きずって肉体が既に重さによろめいている
無口な旅の
記憶の中で
いつでも君と出会っていても
言葉と肉体が交差できずに通過し
既に雨が滴っている
5
星が流れるように、想いも流れる
昨日まで
こうでしか生きていけない思っていたことも
今朝はまた流れて行く
気紛れな僕の中に
隠し持つ小さな傷をいたわりながら
どこかで痛みを忘れ始めることが出来れば
そこはもう旅の終わりなのだ
回帰の前に
旅は見知らぬハウスで収束するのかも知れない。
だから、語ってみよう
少しだけ
見知らぬ君について
聞き得ただけの記憶について
あまりに遠方の距離への眩暈が
なつかしさすら感じさせる
遠い君よ
ひらひらと舞う桜の小径から通り抜け
遠くへと尚、まだ何かを予感するために
視線だけは絶やさず直視しながら
尚また通過しなければならない一瞥の時に属しながら
だが、そこを通り抜けて行くために