存在

堀 剛

 

見えないものと
見えるものとの隙間を
尚 見ようとする

見えるものでしか
世界は語られたことがなかったと言おうとする
触れるものでしか
世界は閉ざされたことがなかったと言おうとする

死にゆくものにおいてのみ
呼吸するものにおいてのみ
哀しみは停止すると言おうとする

佇み
語り
手のひらに
記憶を握りしめながら
思考と決別しようとする

尚 一点の方位に
念を込めて
遮断された記憶の風景に
君が見ている彼方から
僕の記憶の量を交差するために
宇宙の隔壁を思い起こすかもしれない
僕の風景を超えた向こうに

記憶の彼方
過ぎ去った時間を遠く忘れ
水音の彼方では
魚であったかもしれない
いつかの
他宙の
記憶の中へ

肉体を失って
信じて
君がいると信じて
君の風景の中に身を置こうとする
炸裂する
血溜まりの
熾烈な呻きを振幅させて
肉体の痛みの通過を完了し
無表情に観測し
苦しむ

「生きるとは
もう一度戻ること
記憶の風景の小径を歩くこと
街の暗い影の中で
見えない顔の人々を通り過ぎることだ」と
言い聞かせて歩む

痛みを肉体に取り戻すために
静かに
世界に在ると言うために
マップに記号を記すために
そのまま
目を醒まして
やはり僕がここにいると言うために


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